ヘルメットをあたしに被せながら申し訳なさそうに言った。

違うのに。

別に、希龍くんに怒ってるわけじゃない。


ただ、あたしなんかのことをこんなに心配してくれてて、本気で守ってくれようとしてるのが分かるから。

そんなの、戸惑う。

どうしてあたしなんかのために、って。そんな風に思ってしまう。


「迷惑かけて、ごめんね」


あたしの身に何も起きてないのは、希龍くんたちが頑張ってるからであって。

あたしはただのお荷物だ。

あたしがいない方が動きやすいはず。


今だってこうして、あたしの傍にいることで希龍くんの時間が潰れてる。

龍泉のトップなんだから忙しいはずなのに。