それから少しの間、父は元気だった。


急に様態が悪くなり救急車で運ばれた

とうとうこの時が来てしまったんだ…わかっていたことなのに心臓はバクバク音を立て、脈があがってくのがわかった。


どうすればいいかわからず、どうすることもできなかった。

父の入院生活…元気な間はお見舞に行くのが嬉しかった。

だけどだんだん弱っていく父を見るのは苦しかった…


どんなことにも負けなかった父が一度だけ涙を流したんだ。

思うように動かない体…元気になりたいのに無情にもガンは父の身体を蝕んでいく…

怒り…哀しみ…情けなさ…いろんな感情が混ざりやり切れない想いが頬を伝ったのだろう


私は父が流す涙をそれしか知らない…でも見ちゃいけないような気がして部屋をでた。