砂浜沿いの近くにあったコインロッカーに荷物を預け、私達は海へと繰り出した。

「海~!!」

みんな思い思いにはしゃいで、砂浜を駆け出した。私はゆっくりした足どりで砂浜を歩き、さっきのことを思っていた。
しかし前を見ても何もなかった様に、幸恵ちゃん達はみんなで水をかけたりして遊んでいる。気のせいだったのかな…。

「何考えてんの?」

「わっ!!」

急に話しかけられて驚いて振り向くと、相変わらずのぶっきらぼうの月島君が立っていた。

「あはは~別に何でも。」

「ごまかすの下手だね。」

「うっ…」

やっぱりさっきのばれてた?
恐る恐る見ると、ますます怒ってる様子の彼の顔があった。そして怒り声で私に問いかけた。

「どこまで聞いた?」

「………」

私は何も答えることが出来ず、黙っていた。月島君は一つため息をつくともう一度、今度は更に怒ってる低い声で問いかけた。

「良いから答えろ。どこまで聞いた?」
「もしかして千南…?」

月島君の声と重なるように聞いたことのある女の子の声がした。
顔を上げると前の学校の数人が立っていた。

「やっぱり千南だ~♪」
「久しぶり!!」

私だと分かるとみんなは一斉に集まって来た。するとみんなの視線はこちらを睨んでる月島君に向いた。

「もしかして…千南の彼氏?」

「え…ち、違う!!違うよ~何言ってんの!?」

全力で否定するとある男の子がからかう口調で笑った。

「ま、千南の彼氏のわけないよな~。こんなカッコイイ奴千南には合わないし♪」

「そうだよ~…って失礼な!!」

一斉にみんなで笑った。
なんだ私まだ笑える。みんなの前で普通に出来るじゃん。…こんな姿ゆきが見たらどう思う?私は心に複雑の想いをしまったまま話を続けた。