「好き」が、こんなに苦しいなんて知らなかった。


入部した日から、ソウちゃんは外を見てた。


ずっと、
ずっとずっとずっとソウちゃんは、咲さんを見てた。

咲さんだけを見てた。

私が入る隙間なんて、ある訳なかったんだ。



そんな事実が、こんなに苦しい。



止まれ。

止まれ止まれ止まれ。

止まってよ、涙。

零れ落ちないで。


「...ふぇっ...」


ソウちゃんが咲さんを好きなんて、あの大会の日にすでに知っていたのに。
今更こんなことで実感させられてる。



ソウちゃんは、咲さんが好き。


私がソウちゃんを好きなように。
ソウちゃんも咲さんが好きなのだ。




「...やだ...よ...っ」



止まってよ、お願いだから。

この涙も、ソウちゃんへの想いも。



想えば想うほど、こんなに苦しいなら。



止まってよ、お願いだから。