「はい、秋山罰ゲーム!!」
大会が行われる施設までは、私たちの学校から少し遠くて1時間半。
すでに1時間が経過してるっていうのに、アヤとか私の周りは元気のいい人達ばっかりで、いつの間にかゲームなんかを始めていた。
「うわ、まじかよっ!!何?何すればいいの俺?!」
みんなの騒がしい声を聞きながら、私は目を閉じて寝たふりをしていた。
大会前だからっていうのもあるけど__ソウちゃんがうっとおしそうに目をつぶっているのを見て、やっぱりこんな大事な日に浮かれ気分じゃダメだと思ったのだ。
そんな私の思いとは裏腹に、周りのみんなのテンションは一向に落ち着かない。
「じゃ、吹部の中で一番可愛いと思う女子発表ー!!」
「はぁ?ありえねぇ!」
「アンタ負けたじゃんっ」
「マジで言うの?これ」
秋山くんが際どい質問をされているのを横に聞きながら、まだ完全には覚えきれていない1年生のメンバーの顔を一人一人思い浮かべる。
強豪と呼ばれるだけあって、翔陽はひと学年だけでも覚えるのが大変なくらい人数がいる。
「だからさ...早川シオちゃんだって」
その声が聞こえたと同時に、周りのテンションと、そして私の心拍数が上がった。
聞き間違いかと思う。
けれど今聞こえたのは、確かに自分の名前、だ。