「先輩!今日は頑張ってください!」

先輩は、私たちが差し出した手紙を受け取って、

「ありがとー!頑張るからね」

と力強く笑った。その笑顔がなんだか大きくて眩しくて、思わず目を細める。
いつもは隣で演奏して、教えてくれる先輩が、一段と大きく見えた。


「じゃあまたあとでね!」


そう言いながら、先輩たちがバス1号車に乗り込んだ。
3年生は1号車、2年生は2号車、1年生は3号車と、学年ごとに乗る車両が決まっていて、顧問達はそれぞれ1号車か2号車に乗り込むので、一年生にとってはこのバスの時間も楽しみの一つだ。


「てか、大会の日に限ってみんな騒ぐよね」

「1年生はほとんど出ないし、気が抜けてる部分もあるけどね...」


私の隣に座ったのはアヤ。
酔いやすい体質の私は、窓側がいいというアヤにお願いしてこっちを譲ってもらった。