「先輩、頑張ってくださいっ」
「応援してます!」
「絶対金賞とりましょうっ」
いろんなパートの1年生が、それぞれの先輩に手紙を渡し始める。
そんな風景を見ながら、私はそっとソウちゃんに小声でつぶやいた。
「ソウちゃん、手紙書いてきた?」
「書いたよちゃんと」
ほっと胸をなでおろす。
ソウちゃんのことだから、めんどくさいことはしなさそうだと思ったけれど、意外とそこらへんはきちんとしているみたいだ。
バスに乗る直前の先輩達に向かって、私たちは足早に駆け出した。
そう、今日は県大会当日。
後輩から先輩に手紙を渡すのは、たいていどこの学校でも行われている吹奏楽部大会当日の伝統だ。