リョウスケの顔を見る。

思い出す。

ソウちゃんの手。
メトロノームを止めた手
私の楽譜を畳んだ手
ココアを差し出してくれた手。


思い返したら。


「...ホント、だ...」

「な?」


リョウスケがにっこりほほ笑んだ。


「シオの知らないところで、いろんな風に努力して、いろんな風に考えてるやつがいるってこと。」



私はゆっくりうなずいた。

...リョウスケって、やっぱすごい。



「私、リョウスケのそーゆーとこ、好きだな...」