はぁ...って。ソウちゃんの大きなため息が教室にもれる。
今日、ソウちゃんのため息を聞いたの何度目だろう...。
自分がこんなにできないなんて、思ってなかった。
ソウちゃんと私のサックスは、天と地のレベル差があるんだろう。
わかってはいたけれど、現実を突きつけられた感じがして目頭があつくなった。
「...もう一回」
再び止められたメトロノームが動き出す。
吹きたい。
失敗したくない。
私、多分。
ソウちゃんみたいに、なりたいんだ...。
「...もういい」
ソウちゃんはそう言いながらまたメトロノームを途中で止めた。
ずがん、と頭にまた一つ石が乗る。
また出来なかった。また、吹けなかった。
「...今日はもういいよ」