そんな私の言葉に、返事がないので不思議に思って後ろを振り向くと、ニヤニヤとしているアヤ。


「...なーに?」

「やっぱねー」

「だから...何ー?!」


アヤが笑いながら私の顔を覗き込んだ。


「あのね、人って、好きな人の音が、いーちばん好きなんだよー?」


近くにあった苺ミルクのパックジュースを飲んでいた私は、吹き出しそうになって口を抑える。


「げほっ...な、何言ってるの?!」

「ふは、シオ焦りすぎっー!!大丈夫!誰にも言わないから」


アヤはそう言いながらご機嫌に再びお弁当を食べ始めた。
そんなアヤの姿を驚きながら見つめる私は、何も言えずに苺ミルク味の口をつぐむ。


そう、あの日ソウちゃんへの気持ちに気づいてから。
私はこの想いを、誰にも口にしたことはなかったのだ。