「あぁ、シオ...もーあと3日だねっ」
部活の昼休憩中となりでお弁当を食べるアヤが箸でウインナーをつまんだ。
「うん...早いな...こないだ入部したとこな気がするのにね」
あれから季節はすぎ、7月下旬。
夏休みに入った今、夏休み前にあった大会で県大会出場権を獲得した吹奏楽部は、あと3日で県大会なのである。
もちろん、上へ進めれば東海...そして全国、だけど。
かといって、私たち1年の中で大会へ出られるのなんて、トランペットの超上手い沢くんと、人数が足りない打楽器ことパーカッションくらいだ。
「でも、翔陽高強いし...大丈夫だよね?!」
吹奏楽のコンクール全国大会は、吹奏楽の甲子園とよばれるほどの大舞台。
全国の高校吹奏楽部の、ほんのひと握りだけしか出ることのできない夢のような場所なのだ。
私達松陽高校吹奏楽部は、名門と言われるだけあり、約7回全国出場を果たし__そのうち4回、金賞を受賞したことがある。