リョウスケは気づかなかったんだろうか
私が、このストラップを気に入った理由が。
涙は、頬を伝ってぽたりぽたりと地面へ落ちていく。
ソウちゃんは、どんな風に彼女をデートに連れて行くんだろう
どんな風に待ち合わせをして
どんな風に手をつないで
どんな会話をして
どんな表情で彼女を見つめるのだろう
ソウちゃんへの想いが増せば増すほど
『罪悪感』がつのる。
だから私は、リョウスケのキスを、拒めなかった。
ファーストキスだった。
ファーストキスは、レモンの味とか。
甘酸っぱいとか
甘いとか
そんなの嘘だ。
一瞬のことで全然覚えてない。
だけど、確かに私にあったのは
「愛しい」とか「恋しい」っていう感情じゃなかった。
ただただ、
「ごめんね」
って、そう思ってた。