「・・・俺、ホントは知ってたんだ」


・・・何を?


「シオ、俺が咲に告られたこと・・・知ってるだろ?」


ゆっくりとうなずく。


「あの後・・・告白は断ったけど、メル友になってほしいって言われて・・・結構メールしてるんだ。」


私の涙は、全然止まらない。
だって、リョウスケが言おうとしていること、わかってしまって。


「アイツらが・・・付き合い始めたことも、今日・・・夏祭りに、2人でくることも」


そこまで言われて、手に持っていたリョウスケに買ってもらった林檎飴をボトンと落とした。

ごめんリョウスケ。

でも、拾う気力もない。


私は、両手で顔を覆って、ただあふれる涙を、何回も・・・何回もぬぐった。



「知ってたけど・・・今日ここへ来た」



どうして。

どうして?



そんな事実、私は知りたくなかったよ。

知らないまま、ずっとソウちゃんに片思いでもよかったの。


誰かのものになったら、今度こそ、本当に彼を諦めなきゃいけなくなる。