それまで、座っていたソウちゃんがふいに立って、ソウちゃんを抱きしめる私を――


ぎゅっと、抱きしめ返してくれた。

その腕が、心なしか少しばかり震えていて。

私は、流れる涙を止めることができなかった。



でもそれは、私だけじゃなくて。

抱きしめているから、見えないだけで。

ソウちゃんもきっと、泣いていた。



誰より、

誰よりプレッシャーも責任感も大きかった。

それにこたえられるのは、自分の〝努力〟でしかないということも、ソウちゃんはちゃんとわかってて。





「ごめ・・・シオ・・・俺、カッコわる・・」


「カッコ悪くなんかないよ・・・・」


ソウちゃんが、涙をぬぐったのを背中で感じた。


私は、ソウちゃんを抱きしめる力をぎゅっと強くした。




「ありがと・・・シオ」

ソウちゃんは、そう言って笑った。




「ソウちゃん・・・」



あのね、私思うんだ。



「今日流したこの涙は、絶対に無駄にはならないよ」


「・・・うん」


「私たちには、まだ、来年がある」


「・・・うん」


「ね、だから・・・」