――「シオ?」




そんな聞きなれたソウちゃんの声で、私は再び我に返った。



「わっ・・・ご、ごめん・・・」



あたふたと、私が持っていたのはサックスだった。

サックスを持っているということは、もう本番直前だということか。


吹奏楽コンクールは、地区に寄るけど本番前に15分のチューニング室と15分のリハーサル室が準備されている。


今は・・・チューニング室、か。



「シオ、緊張してるの?」


ソウちゃんの声で、自分の胸がいつも異常に高鳴っていることに気付く。


ヤバい、大分緊張してる・・・。


私は右手を胸に当てながら


「・・・緊張する・・・」


そうつぶやいた。