ソウちゃんからの言葉はなかった。


「私、あの時・・・すべてのことが、上手くいってなくて・・・」


相変わらず、窓の外を眺めたままのソウちゃんを、私はじっと見つめながら。



「合奏メンバーに選ばれなくて、この1年何してたんだろうって思ったら、
なんか、全部のことが、私って曖昧で、ちゃんとやれてないんだな、って思って・・・」



あぁ、ヤバイ。涙が出そうだ。

でも、言わなくちゃ。



「それで、ソウちゃんに当たって・・・最低だよね、あんな言葉・・・」


ソウちゃんが努力していることは、私が誰よりもわかっていたはずなのに。



「・・・ソウちゃんに言われた言葉、そのとおりだって思ったんだ・・・」



何のためにサックスを吹いているのか。

私は、才能がないなんていう言葉で、すべてのことを片付けてきたのかもしれない。


そんな、最低な自分の考えを、



「ソウちゃんがっ・・・、気づかせて、っ・・くれたの・・・」


泣いちゃダメなのに、


ちゃんと言わなきゃいけないのに。






「ソウちゃん・・・ごめんね・・・そして、ありがと・・・っ」





口から出た言葉は、かすかすで。

声になってたかどうかもわからないほど、涙ばかりが先に出て。