ゆっくりと、音楽準備室のドアを開けた。


・・・やっぱり。


ソウちゃんは、あのベランダのイスに腰掛けて、外を見ていた。
もう、テニス部はとっくの昔に帰ったのに。



「ソウ、ちゃん・・・」


ビクリと肩を震わせて、こちらを向いたソウちゃんは


「・・・なんだ、シオか」


なんて少し笑った。



これが、1週間半ぶりに交わしたソウちゃんとの会話で。




「シオ、合奏メンバーおめでとう」


話を切り出さなきゃいけなかったのは、きっと私の方だったのに。


ふるふると首を横に振りながら


「・・・ありが、とう・・・」


そうつぶやく。


そして、


「ソウちゃん、ゴメンね・・・」


この1週間半、ずっと言いたかった言葉を口にした。