「今日は個人練にします、それぞれ別れて練習して」
永滝先生のそんな短い言葉を受けながら、部員たちが次々に音楽室から出ていく。
ソウちゃんの姿も、もう見当たらなかった。
自分のアルトサックスを、ぎゅっと抱きしめる。
いつも、一緒にいてくれてありがとう。
いつも、私の涙を受け止めてくれて
いつも、私と笑ってくれて
いつも、素敵な音を響かせてくれて
いつも、勇気づけてくれて
ありがとう。
・・・そんな君が、大好きだよ?
でも、ね。
そんな気持ちに気づかせてくれたのは、他の誰でもない、私の好きな人なの――