うつむいて、ぎゅっと制服のスカートを握った。
わかってる。
だって、アルトサックスは定員2~3名。
先輩2人の音で、十分だってことだ。
わかってる。
わかってるけど。
どうしようもなく...悔しい。
「あと、奏」
「はい」
「ソプラノは、今日からあなたが持ち替えで吹きなさい」
「えっ」
一瞬、空気がどよめいた。
吹奏楽部全員が、視線を永滝先生とソウちゃんに集中させた。
――ソウちゃんが、ソプラノ?
「それから、テナーは長嶋を入れます」
ヤバい、足元が暗くて、歩けない。
...私は、今ここに立ってるの?