「次、サックス」 ゴクン、と喉が鳴った。 「アルトサックス1st、中川」 「はいっ」 そうだよね、いつも通り。 「2nd、深谷」 「はい!」 すっ――・・・ 先生が息を吸ったのを確認した後、私は目を閉じた。 「――テナーサックス 神尾 奏」 「はい」 __呼ばれなかった自分の名前。