「いやぁ、でも本当ソウ人気ハンパないね」


隣でお弁当をつつくアヤが、うらめしそうに眉をひそめた。
あれから、約一週間。

一年生が入部してきて、初めての土曜日練習。

うちの部の筋トレや基礎練に大分苦戦してる子達も何人かいたみたい。


まぁ、1年前の私たちも、こんなだったなぁって思う。



「だってサックス、今年入ったの7人だっけ?絶対ソウ目当てだよね」


そう。
なんと今年は、サックスパートに7人もの1年生が入ってきたのだ。


顔と名前を覚えるのに一苦労だ。


でも、1人の男子を除いてあとは全員女子。
しかも、なんか、可愛い子が多い。


ソウちゃんなんか、勝手に『ソウちゃん先輩』ってよばれてるし。
私なんて『早川先輩』なのに。



「まぁでも、1年生の面倒みるのは3年生だから、あんまり関わってないし」


「でも、もう3年も受験だし、1年の面倒なんてすぐ2年にまわってくるよ」




そうかなぁ、なんて、その時は言ったけど、
アヤが言ったことは、ホントにその通りで、1年生を2年が見ることになったのは、それから三日くらいたってからだった。