「1年生ね...」
先輩たちは、今入ってきたばかりの1年生を、下から上まで見回した。
「とりあえず、そこに座って見学、ね」
私が入部したときは、先輩たちもっとはしゃいでたのにな。
大分示される態度が違うから、調子が狂う。
楽器ケースの大きさから見て、唯一の男の子はテナーサックス。
アルトサックスが3人に、バリトンサックスが1人。
今日だけで5人も見学者がくるなんて...今年は大分一年生がやる気みたいだ。
「じゃ、ロングトーンやるよっ」
「「「はいっ」」」
私は、ふと去年のことを思いだしていた。
私よりも一足先に入部していたソウちゃん。
先輩に全然遅れをとっていなかったソウちゃん。
ただの基礎なのに、きれいだ、と思わせるソウちゃんの音。
あぁ、私の。
私の記憶は、全部ソウちゃん基準なんだ_...