どきり、と胸が鳴る。
実は、すごく、すごく緊張しているんだ。
だって、中学の時とは違う。
私より上手い子が来たら、平気でコンクールメンバーからははずされる。
高校なんて、ましてやこの翔陽高校では、あたりまえのことなのだ。
実際、去年のトランペット隊も、2年生が降ろされて1人私たち1年生からコンクールメンバーになった人がいたくらいだし。
「とにかく、優しく楽しくね」
パートリーダーの石井先輩がそう笑う。
吹奏楽部は比較的どこの学校でも上下関係にはそれなりに厳しい。
でもそれは、誰もが音楽に対しての想いをちゃんと持っているからだと思う。
後輩を育てるのは、先輩の仕事なのだ。