「…っは んっ…っあ」


「はぁはぁっ…っく うっ」





「はぁっ…っん んっ」


「…いい? 中っ…っは…」






「……っう はぁっ あん」


「…いっ っはぁ…はぁはぁ」




フゥー



大きく煙を吐き出す



「ったく…演技させんなよクソ野郎」



タバコを灰皿に押し付け、衣服を身に付けてからそそくさと帰る準備をする



「あっ、金…って寝てんなよ」



面倒くさく舌打ちをしながら、相手の財布から5枚ほど抜き取る




「…ん〜…んっ?もう帰るの?」



ベッドから出てよたよたと近付いて来る酒臭い相手を無視しながら歩き続ける



「無視しないでよ〜。もう、…また連絡するわ」



そう言い放った奴に、冷めた顔で振り向きながらはぁ?と答える



「はぁ?て…何か不満?」



しつこく絡んでくるのにイライラが増す



「…勘違いも大概にしろよ。下手過ぎて金もらってもやりたくねーよ」



そう吐き捨てて部屋を出た




「…っ 暑っ」



沸々と額に出る汗を袖で拭いながら、夏って朝でも暑いんだなと呟く



「…………」



後ろから俺の肩に乗しかかり、膝カックンをかけようとしている気配がする



毎度の事だから、もう分かる



最近は、先を読んで膝を曲げておくが気付いたら熱せられたアスファルトの上に手から落ちていた




「って…熱っ!!おい、いい加減にしろよ、洋」



俺は、横で仁王立ちしてる洋を冷たい目で睨んだ



こいつも学習したのか、俺の肩を後ろに引いた



おかげで、曲げて不安定になった膝からバランスを失いこんな事になった



「はははっ、そんな怒んなって」



俺を置き去りにして、すたすたと歩き出す洋の背中に一発入れてやった




たく…ただでさえ暑いのに朝から何やらせんだよ



学校までの微妙な距離のこの道のりで汗だくになるなんて最悪



歩くには遠いし、でも自転車で行く距離でもない



こんな事なら、少し遠いとこにでも進学して電車通学なんて事もあったのか




俺は、今年高校に入学して1回目の夏を迎えてる



「男はいくつになっても、やっぱ子供のままなんだよな〜」



背中をさすりながら、あははと笑う洋



「ってか、もうすぐ夏休みだな〜。予定決めとかないと」



こいつも高校の同級生…て言うか幼なじみ



その洋を置いて、俺はそそくさと歩きだす



…やべっ、遅刻しそう




キーンコーン カーンコーン



洋の奴、まだ来てねーのか?



俺は机にうつ伏せになり、夏休みかぁ…バイトでもしようかななんて、洋ほどではないが計画を立てていた



「おはよ〜唯っ!!」



俺の頭を突きながら、あいさつしてくる女



俺は頭だけ起こし、あぁ、とだけ言ってまた机に頭をもどした



「今日は、洋くんとは
一緒じゃないの〜?」



何であいつとワンセットなんだよ…と思いながら、知らねぇと言った




ダダダダダー



「っせーふ!!せーふぅ〜」



息をはぁはぁさせて、呼吸だか言葉だか分からない事を言いながら洋が教室に走ってきた



しかも予鈴鳴ったし、遅刻だろ



「唯〜走るなら走るって言ってくれよぉ」



俺の机の横に座り、ワイシャツを脱いだ



洋の言葉を無視して



「洋、さっきあの女がお前の事探してたぞ」



と、適当に言った



「えっ、誰あいつ?」



話した事ねぇなぁなんて言いながらも顔がにやけていた