ここのお店を既に4周はしただろう。

うーん。どれがいいかなー
和くんならなんでも似合うんだろうけど
こういうゴツゴツしたのは嫌いそうだし、
細身のパンツはこれと同じ様なの持ってたし…うーん。


と、手にとっては唸って戻すの繰り返し。

店員さんですら話しかけて来ないほど真剣に選んでる。

私としたら話しかけてください!オーラを発してるつもりなんだけどなー


どうしよう。


そう思っていると、



「…唯香ちゃん?」



「岡崎 純平(おかざき じゅんぺい)くん?」



「なんでフルネーム?」



ぶはっと吹き出して笑った純平くん。

だって、こんな所で会うなんて思ってなくて…



純平くんは私の学年で1,2を争う人気者。


頭良いし運動神経もバツグン!


でも不器用で細かい作業は苦手らしい。

しかし女子はそんな、できないことがあるところにクラクラしてしまうらしい。

さやちゃんが言ってた。




「純平くん、買い物?」


「そー
部活休みだったから友達と。」


「純平くんも買い物するんだねー」



そう言うと「いや、普通にするでしょ」
と笑われてしまった。


「唯香ちゃんは?一人?」


「あ、私は和くんと来てて、今,和くんの服を探してるの」


「あぁ。あの有名な『和くん』か。」



私には有名な意味がわからず首を傾げると


「いつもグランドまで声、聞こえてきてるよ」

と言われ帰り際のさやちゃんとのやりとりを思い出して真っ赤になってしまった。



「ち、ちがうよ?あ、あれは、あれはね、」



焦って言葉を詰まらせていると

「唯?」

とタイミング良く現れた和くん。


それにも焦ってしまい、



「あの、こちらが和くんです!」



と純平くんに紹介してしまった。