金曜日の放課後。

私にとって最高の週末のはじまり。



「唯香(ゆいか)ー、校門のとこにいるの和春(かずは)くんじゃない?」



私が急いで日誌を書いていると
ベランダで彼氏さんとおしゃべりしてた親友のさやちゃんが窓から声をかけてきた。



「え!?和くんもう来てるの!?」



なんて言いながら私もベランダに出て校門の方を見る。



「あいかわらずイケメンだね~
さっき女の子に声かけられてたよ」



「しょうがないよ、“イケメン”だから!」



と言いなが「かーずーくーん」と大声で3階から手を振ると
目を細めてフッと笑いながら手を振りかえしてくれた。



「でたよ。唯香の『和くんは私のものコール』」



「え?なにそれ?」



「え?じゃないわよ。
毎週、毎週、3階から大声で名前呼んで!
完全に『和くんには私がいます。近づかないでください。』ってアピールでしょ?」



「え~!?そんなんじゃないよ!
普通に名前呼んだだけだよ!」



まさか自分が普通にしていた行為にそんな意味があったなんて…。

今度から気を付けよう。

そう思っていると



「あれが普通!?どこがよ!
てか行かなくていいの?
和春くん、待ってるよ?」



と言われ焦った私は「日誌出したらすぐ行くからー」とまた大声で和くんに向かって言ってしまった。


さやちゃんは諦めたようにため息をついたけど
さやちゃんの彼氏さんは「そうじゃなきゃ唯香ちゃんじゃないよ!」
と慰めてくれた。


そしてすぐにバイバイをして
日誌を出しに職員室に行くと
さっきの声が聞こえていたのか
担任の先生にに「青春っていいな~」と言われた。