「お荷物、お持ちします」


「ありがとう」


私は遠慮なく、坂下さんに荷物を預けた。



坂下さんがワックスでピカピカに磨いた黒い車の後部座席に乗り込んだ。



空港を離れ、都内の邸宅に向かう。



「…お父さんの会社…やっぱりダメなの?」


「ええ、まぁ~。でも、摩有お嬢様が白石様と結婚すれば…なんとか持ちこたえると思います」



「摩有も可哀想だね・・・好きでもない相手と結婚するなんて」