楽しみしていたデートは結生の仕事で順延。


月曜日。



栗原さんのお膳立てで、私は銀座の喫茶店で梢さんに会った。



「あなたが結生君の奥様か…若いわね」


羨望と皮肉が混じる声。



「…私の誕生日でエスコートしたっきり、店には顔を出さないわ…連絡したくても携番…変更されちゃって…私には打つ手がない。マジで結生は真面目になった…飲んでいても…お酒はセーブしてるし、私が誘ってもかわすようになった。結生の中にあなたが居ついてる…帝王を一途にさせなんて…あなた…どんな手を使ったの?」


「別に私は何も…しいて言えば…毎日…ご飯作ってました」


「・・・帝王は家庭の味に飢えていたんだ…」



「・・・」



「ふーん」



梢さんは一人で頷きながら、コーヒーを喉に通した。