他にも沢山人がいたし…詳しい話は出来なかった。


巡回の帰りがけ、栗原さんは邸宅の門扉の前で私の話を訊いてくれた。



「それはきっと…梢ちゃんですよ」



「梢ちゃん??」


「結生君が贔屓にする六本木のキャバ嬢だ」


「キャ、キャバ嬢?」


「実は俺も出入りしている…梢ちゃんに会わせてあげましょうか?」


「いいんですか??」


「直接…彼女から事情を訊けばいい。多分、その日は彼女の誕生日で店で盛大にパーティしていたから。結生君は彼女のエスコート役を頼まれていたんだ」



「栗原さんもいたんですか?」


「少し顔見せに…君から見れば…夜遊び=浮気と見るけど…実は仕事だったりもする。取引先の接待とかでキャバクラに行くコトだってあるから。男の世界には色々あるんだよ。それが社長ともなれば…縦横無尽に交際範囲を広げないと、どこに大きなビジネスは転がってるか分からない…」



「そうなんですか・・・」


何も分からない私は相槌するコトしか出来なかった。