私は卵を綺麗なボールに入れて、清潔な布巾を被せてキッチンにあった風呂敷で包んだ。


慎重に両手で抱え込むように持ちながら、玄関で待つ結生の元に向かう。



「遅いぞ!!」



「ゴメンなさい」



「先にシンとリンはいっちまっただろっ?」



結生は口惜しそうに漏らす。


「卵を用意しろと言ったのは結生でしょ?」


「お前と言い合ってる暇はない!行くぞ!!」



玄関の前に設けられた車寄せに沿うように黒の車が後部座席を開いて、私たちを待っていた。


運転手は克敏。



昼間の作業服とは違って、キチンと黒のスーツを着込み、ネクタイもキチッと結んでいた。



私たちを乗せ、車はゆっくりと走り出す。