私は割烹着を脱いで、蘭さんから借りた黒のスーツを着た。


外見だけ秘書になった雰囲気。


「お礼に伺うんだ…普通の服じゃあ…ダメだろ?」



結生は鏡を見つめながら、面倒臭そうに外したネクタイをもう一度、結んでいた。



「髪は括った方がいい??」


「別にそのままでいい」


結生はネクタイを結びながら、私の顔を見つめた。



「お前…すっぴんか?」


「16歳なんだもん。当然でしょ?」


「・・・そうか…でも、16歳でもメイクしてる女はメイクしてる」