ただ恋は黙り込む



『恋?』



『嫌だ、二週間も流加と離れるとか絶対無理、しかも知らない土地に流加を一人で行かせるとか俺は無理』


なんて言う



『恋、あのな、流加が決めたの、子供みたいなこと言うなよ、それに親父さんが居るから大丈夫だろ』


那珂は恋をなだめるように言う



『恋、恋が嫌なら行かない、だって恋が居るから今の私が居るんだもん、うん、やっぱり行かない』


なんか恋が嫌がってるのを押し切ってまで行けないよね



『流加、いいのか?チャンスなんだよ、お父さんと話する』



『そうだよ、姫、恋が嫌だとか関係ないだろ?姫が決めればいいんだよ?』


那珂や蛍は言ってくれたけど、こんなにも嫌がる恋を見てたらなんか行きたくない


『いいの、別にどうしてもってことじゃないし、また皆で海外に行ってからでもいいしさ、今じゃなくてもね』



そう皆に言う



だってなんか私が今、行ってしまったら恋が居なくなりそうなんだもん



私にとって一番大切なのは恋だから



恋がそばに居てくれたらいいんだ



『まあ、流加がいいならもうなにも言わないよ』


那珂が言う



『うん、僕も何も言わない』



蛍も言う


恋はただ黙って何かを考えてた