どれほどお兄ちゃんに愛されていたのか、大切に思われていたのか痛い位伝わってきて止めようと思う涙は止まらず溢れて来る


『流加ちゃん、悠は本当に流加ちゃんが大切だったんだよ、流加ちゃんは一人じゃないよ、もう苦しまなくていいんだよ、悠は流加ちゃんが笑っている事を願ってるから』


佐野さんはお兄ちゃんの代わりに言うかの様に話してくれた


お兄ちゃんの気持ちを始めて知った


私のせいでお兄ちゃんをお兄ちゃんの夢を壊したのに、佐野さんに言われるとお兄ちゃんに言われているかの様に感じる



お兄ちゃん、ありがとう何度も何度もお兄ちゃんの名前を呼ぶ




佐野さんはずっと私を抱きしめてくれた



『ありがとうございました、今日ここに来てよかったです』


やっとそう佐野さんに言えたのはこの家に来て何時間も経ったあとだった





『俺はただ悠の気持ちを伝えただけだよ、悠の代わりにね』



そう笑ってくれた



ああ、私は佐野さんに感じていた感情はきっとお兄ちゃんを重ねていたんだと気づいた



帰ったら恋たちにちゃんと話そう、そしてごめんなさいってきっと心配かけてしまっていたと思うから


もう大丈夫だよってお兄ちゃんの話も聞いてもらおうそう思った



それから佐野さんと少し話して彼のマンションを出た




外に恋たちがいる事なんて全く思いもせずに