眠れない静かな夜。
「ねえ、ゴン!!起きてる?!」
ベットの上で白い天井を仰ぎ見ながら
『・・・うるさい、起きてる。早く寝ろ』
いるはずもないその声はどこからともなく私の耳に入ってくる。
それが嬉しくて嬉しくて私はあの日以来、おかしいのだ。
「ねえ、ゴン!!あのね!!ゴン!!」
この【ゴン】は、【名無しの権兵衛(ゴンベイ)】からきたニックネーム。
ゴンの名前、知らない。
教えてくれない。
それに少し聞くのが怖かった。
なんでだろうな。
『・・・よくしゃべるやつだな。餓鬼は寝ろ、お前まだ小1くらいだったか?』
「小3だしっ!!ガキじゃないしっ!!眠くないしー!!」
私は布団をもそもそさせながら口をパクパク動かす。
となりのベットからは安らかな寝息が聞こえる。
それはすごく小さい。
不思議とゴンの声は耳の中で聞こえる。