耳の奥の方で反響する先程の言葉



「婚約者」



その言葉は、俺の胸に重くのしかかる

先輩の人生をこのまま俺が奪ってしまっていいのだろうか

先輩は、きっと俺といたいという。今は。


...そう、今は言ってくれるだろう




「どうせ、その感情も一時なんだから」



そう。先輩は今寂しくて俺を隣に置いてるに過ぎない


もし、俺と違う人と出会っていたら?

もし、婚約者の人とうまくいってしまったら?

もし、俺といる以外の幸せを見つけてしまったら?



考えただけで、頭と強く殴られたような痛みに襲われる