その優しさに、胸が締め付けられ、止めようにも止められない


困り果てた先輩は、無理やり俺の手を引き、学校を出た


ずんずん進む先輩の足は、止まらずに多分いつもと逆方向だから、先輩の家に向かっているのだろう


無言のまま10分ほど歩くと、見たことのある立派な建物


そこに入ると、先輩は急に立ち止まり、俺の方へと振り返る


そして、少し乾いた俺の目を撫でると、そっと唇を重ねた


なんだかんだで、キスもあの日以来で、胸が壊れるんじゃないかと思うぐらい高鳴る


ゆっくり離れた唇は、初めてした時と同じようなリップ音が鳴った



「上がって」

先輩は少し俺から視線を外し、自分の靴を脱いで、家へと上がる

俺は恥ずかしくて、俯きながら小さく頷き、靴を脱いだ