「真田くん」


そう言って、多分同じ学年であろう女の人が先輩に話しかけた


先輩はそんなに笑わないタイプだから、分からなかったけど、話しかけた女の人はとても楽しげに話をしているように見えた


「もー、いいじゃん」

そんな言葉と共に、先輩の腕に触れる女の人の手を見て、胸がモヤッとする

でも、その光景を見ていると、あれが普通なんだろうと心が押しつぶされそうになった


 やっぱり、男同士って...


そう思うと、泣きそうだった

耐え切れずに俯くと、目の前に影が止まった。そして、



「理久?」


愛おしい人の声が聞こえ、俺は顔を上げる


「なんで、泣いてんの?」

俺の顔を見てそう言うと、大きな手でゴシゴシと俺の涙を拭く