「あ..失礼します」


ゆっくり足を踏み入れると、ザーッと強い風に押し返される感覚を受けた


「あ、悪い。窓開けっぱなしだったな」


そう言って立ち上がり窓を閉める先輩



「なんで、泣いてんの?」

窓を閉め、振り返った先輩が俺を見て目を見開いている



なんでかな?

なんで、泣いてんのかな?


目に溜まる涙は、減ることを知らずに溜まり続け、溢れるように目から零れ落ちる


「どうしたんだ?」

困ったような先輩の声に、顔を上げると、とても悲しそうな顔をしていた

ゆっくり、俺の頬に手を添えて、親指で涙をすくうように拭いてくれる


とても大きくて暖かい手