その人には太陽の光が当たり、桜の花びらに包まれていた。

「この人は桜たちに愛されているのね。こんなにも桜の花びらに包まれて。」
桜はクスッと笑って彼の髪に付いた花びらを取ろうと桜は手を伸ばした。
しかし髪にふれたとたん

ドクン

「なにっ!?」
胸が苦しい。でもイヤじゃない。
「あぁ………これは恋だ。」
そう言いながら桜は胸に手を当てた。

初めての恋なのになぜか納得できた。桜はこれは当たり前な気がした。
「私はこの人に恋することが始めから決まってたんだ。だってここの桜たちがこの人に恋しているんだもん」
きっといい人だわ。桜は微笑みながら彼の髪に付いた花びらを一枚取って手帳に大事に挟んだ。そして彼の顔に付いた朝露を自分のハンカチで拭いて、たぶん彼は持っていないと思い彼の膝にハンカチを置いた。また朝露に濡れた時のために。