No.03「探偵の特権」


俺は少々危険な職業に就いてる

場合によっては凶悪な事件に巻き込まれることもある


しかし仕方ない、俺の職業は探偵
事件に巻き込まれるのが仕事だ


しかしこんな形で巻き込まれるのは初めてだ



もう一度言う、俺の職業は探偵

しかし、探偵と言ってもしがない私立探偵

さらにこれといって儲けは無い。むしろ全く無い



俺は今小さな部屋に居る

そして、椅子に縛られてる


足元に転がっているのはよく漫画で見るアレだ

赤い筒状のモノが紐で縛られ、真ん中あたりにデジタル表示の数字がカウントダウンを始めている

カウントダウンは1時間を切っている

しかしこの程度じゃ慌てない


俺は数々の浮気調査、迷い猫探し、その他諸々の事件を解決してきた男だ

こんな縄なんてポケットに入ってるナイフを使えば…



カラン




「…!」


最悪だ、ナイフを落とした


しかし慌てない

このまま椅子を揺らして倒せば落ちたナイフの辺りまで…



「うるさいっスよ」


後ろを見ると見覚えのある青年が居た

この事件の依頼人だ