「じゃあねー」

車を降りて手を振り、彼女が横断歩道を渡る

「彼女が危ない」



「声」が言った

危ない、彼女が危ない
僕は車を降り、彼女のとこまで走った

大型のトラックが迫る


彼女を突き飛ばし、トラックは僕に激突した


薄れゆく意識の中で、目の前に落ちた鏡の破片から声が聞こえた

「契約だ、血を寄越せ」

契約…
このテのモノと契約なんかしたらロクな目に会わない
そんなの誰だって分かる


頭が割れるように痛い
血が出てるようだった


……………………………………………………

助けてくれ


苦しい

ここはどこだ


目の前に二種類の景色が展開されていた

片方には凄惨な事故現場
もう片方には普通の大通り

事故現場はこの大通りの未来なのだろう

この男を助けよう



僕の声が聞こえるようだから





ある程度助けて「契約」でもしてやろう

僕がそうされたように

END