( 人はそう )


何で、何で、何で。
私はあの人が嫌い、大嫌い。
なのになのに、何故だと思う?
涙がね、止まらないの。

彼女はそう言いながら涙を流す。
僕と彼女の前には大きな石が。

ねえ何故この石に彼の名前が刻まれているの?
これは石よ、彼ではないのに何故?ねえ教えて教えて。
私を裏切った彼はこの石じゃないの、私じゃない女を選んだあの
最低な男は、私が愛した人はこれじゃないの。
ねえ何処に居るの、私は貴方に大嫌いとまだ伝えていないの。

彼女は地面に膝を付く。
僕は何もせずに、只彼女の言葉を聞いていた。

私を選ばなかったことを後悔させるの、私を選んでいれば、って。
だから早く会わせて、私まだ何も、何も伝えてないの。
何処に行ったのよ、またあの女のところ?
こんな石を身代わりにでもしたつもりなの?

僕は彼女にこう呟いた。
「彼はもう、この世には居ないんだよ。」

嘘よ、嘘。
嘘嘘嘘、…うそよ。
だって私、まだ伝えていないの。
『愛してる』の一言も。


彼女を狂わせたのは誰か
彼女が狂ってしまったのは何時からか


( 死んだ人間は超えられない )





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私を置いて行かないで

ちょっと甘くないですね
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