―――
「お姉ちゃんはズルいよ。」
私は一人、部屋で小さく呟いた。
私とお姉ちゃんは同じ日に生まれた。
そう、双子。
顔は勿論、背丈もあまり変わらない。
初めて私達を見る人は、ほとんど見分けることは出来ない。
世間の私達の見分け方。
姉は愛想の良い子
妹は無愛想な子
決して妹が嫌なわけではないし、お姉ちゃんが嫌いなわけではない。
そんな私にも、好きな人が居た。
ある日、お姉ちゃんに彼氏が出来た。
幸せそうに笑いながら彼を私に紹介するお姉ちゃん。
私は精一杯の声で、言葉で。
「おめでとう」と、言った。
私の好きだった人は、お姉ちゃんの彼氏になりました。
何時も何時も我慢するのは私。
洋服だって、お姉ちゃんのお下がり。
新しい物は全部、お姉ちゃんの物。
私がもらえるのは、何時だってお姉ちゃんのお下がりばかりで。
あの人は私が欲しい物全部を持っていた。
見た目に変わりはないのに、少し生まれるのが遅かっただけなのに。
それでも優しいお姉ちゃんを、私は憎めなかった。
そして今日、私はお姉ちゃんの彼氏を呼び出した。
お姉ちゃんは私に一言、「別れた」と告げたのだ。
何故かと聞くとお姉ちゃんは
「もう良く分からないの、好きじゃなくなったって訳じゃないんだけどね。」
何て勝手な人だろう。
私がどんなに頑張っても、欲しい物は手に入らないのに。
この人は意図も簡単に手に入れて、何時も手放して。
私はその手放した物しか手に入らないのに、なんで。
「…で、妹は俺に何の用だよ。」
「何で、お姉ちゃんと別れたんですか。」
「何でって俺に聞かれてもな、俺が振られたんだケド。」
「…」
「おいおい、黙るなって。別に気にしてねェから。」
彼は私の髪をくしゃりと撫でる。
「…い」
「は?」
「私をお姉ちゃんの代わりにして欲しい。」
「…お前、何言ってんの。」
「顔は同じだし性格だって変えようと思えばいくらでも…」
「いくら双子だからって、お前を代わりに何てできるわけねェだろ。」
「…っ」
「慰めとか要らねェよ、俺別に大丈夫だし。」
「違う。」
「何が、だよ。」
代わりにして欲しいだなんて嘘。
本当は、本当はずっと、ずっと
「私の方がずっと、ずっと前から好きだったのに…っ」
「…は?、」
「何時も私の欲しい物はお姉ちゃんがもってた、私の性格がこうなったのだって仕方ないじゃない…っ!頑張っても頑張っても、私の欲しい物は、大好きな人はお姉ちゃんのモノで…っ!」
「落ち着けって…!」
「何で、何でお姉ちゃんばっかり…っ」
「…」
「お願い、もう我儘言わない、から…」
本当に、大好きだった
もう少し早く生まれていたら
未来は変わっていたのかな
"最初で最後のキスをして"
( 貴方が私にくれたのは )
( お下がりのキスでした )
-----
初めてのキスは涙の味がした。
少し書き方を変えました
実際に、私が本当は双子だったので
書いてみたいと思っていたネタです
男女の双子の予定だったのですが、
どんな子だったのだろうと今も考えます。
久々更新失礼しました(・ω・`)
-----