空港からタクシーで支社に向かう。



支社に着くと、受付には知った顔が。



簡単に挨拶を済ませ、美空を紹介する。





『受付の人はみんな綺麗』

『綾さんもキレイ』

『羨ましい』



そう言った美空。




「......お前」



自分がどれだけ魅力的か、分かってないのか。



確かに、支社の受付や綾も、世間一般的に美人と言われる類だと思う。




でも。




俺を翻弄するのは、受付の女や綾じゃない。



お前なんだ。





自分の魅力を自覚していない美空が、逆に可愛く感じる。


と同時に不安も押し寄せる。



石川だけじゃない。


きっと、これからも。



美空に言い寄る奴が出てくるに違いない。



美空が俺を想ってくれているのに不安を感じる理由。





それは――――












俺が結婚しているから。










今のままでは、美空と一緒になることができないから。