部長の言う事に反対できるわけも無く、とりあえずは了承した。


このまま綾には言わず、当日体調が悪いとか言って誤魔化すか...。


でも、もしも、嘘だとばれたら?

それに、綾に何て言う?金曜日の夜に家に帰る予定なのに...。


でも、綾の性格だったら、バーベキューなんて来ないかもしれない。どちらかといえば、アウトドアは苦手なタイプ。日に焼ける事を嫌がる女だから。

綾が断ると見越し、昼休みに、綾に電話を入れる。


バーベキューのことを話し、金曜日の夜に帰れなくなったことを伝えると、案の定、綾は機嫌を損ねた。


「約束したじゃない。今週末は大事な時期なのに。大和、どういうつもりなの?」

「仕方ないだろ。企画部全員出席なんだ。俺だけ行かないわけにはいかないんだ」

「本当に仕事なの?家に帰ってくるのが嫌で嘘ついてるんじゃないの?」

「そう思うんなら、お前も来れば?部長から奥さんも誘えって言われたし」

電話口で思案してる様子の綾。





「わかった。私も行くわ」






思いがけず、綾からはOKの返事。


まさか、綾が来るなんて思わなかった。綾の事だ。絶対断るだろうと。




くそっ!




今更、綾に来るなとも言えない。






「食料品やバーベキューに必要な物の買出しがあるから、そっちに迎えには行けないと思う。お前がこっちまで出てきてくれるか?」


「なら、金曜日の夜にマンションまで行くわ。そうすれば、金曜の夜にもできるでしょ?」