このままこの集団に囲まれたままより。
きっと多分、結城真一に助けを求めた方が…。
はるかにましだわっ!!

「た…、たすけて…」

ん?と首を傾げる結城真一は、どうしたらいいか分からないくらいの満面の笑み…。
いつもの眉間にしわの不機嫌そうな表情からは想像できないくらい。

こんなふうに笑うのね。
なんて、そんなこと考えてる場合じゃないわっ!!

「たっ、助けて」
「はーい、よくできましたー」

結城真一がにっこり笑ってそう言うと。
あたしの手首を掴んでた男を蹴り倒す。

ぎゃぁああー!!
倒れちゃったじゃないっ!!
大丈夫なの!?

あたしの周りを取り囲んでた男たちが、とっさに離れて身構える。
でも、結城真一はあたしの手を引っ張って。

ぎゅうと抱きしめられたの。

はっ…
はぁあああー?

なっ…
なんでー?

なんでこうなるの?
どうしてあたしが結城真一に抱きしめられてるの?

なんでどうして?

でも、結城真一は全然気にしてないみたい。
驚いて固まるあたしの耳元に顔を近付けて

「怖かっただろ?」

囁くように言われた。
あたしの背中に回した腕に、さらに力をこめるの。

ちょっ…
ちょっと待ってよ何これー!!

首筋にかかる結城真一の吐息がくすぐったくて。
恥ずかしくて顔を背ける。
呆然とする男たちがちらっと見えて。
さっきまで囲まれてた状況を思い出す…。

なんとかしなきゃっ!!
でも、この状況、一体どうすればいいの?
もがきながら身を捩って結城真一の腕から抜け出そうとしても。
力が強すぎて身動き取れない…。

ああ、もう…。
どうしたらいいの?

やっと離してくれたと思ったら…。
背中にあたしを隠すようにして。
殴りかかってきた男たちを、逆に殴り倒すの。

ぎゃぁああー!!
大丈夫なの!?
倒れた相手の男、血が出てるじゃないのっ!!