ああ、でも…。
無邪気に喜んでくれて。
それが嬉しいの。

いつも眉間にしわの不機嫌な仏頂面で。
顔は怖いし。
滅多に笑わないし。
実はヤンキーだし。

でもね。
楽しいときは、笑うでしょ?

本当は優しくて。
あたしのこと考えてくれて。
いつも心配してくれて。
いつだって、真面目に接してくれるの。

そういうところが

「好き」


なのよね。

ふと顔を上げた結城真一と目があう。

ん?
あれ?
あたし、今…。

ぎゃぁあああー!!

あ…
あたしってば…
なんてことを言っちゃったのー!!

いやー!!

まさかまさかそんなっ!!
ここで好きって言っちゃうなんてー!!

どうしよう…。
どうしたらいいの!?

何も言えないあたし。
結城真一にじっと見つめられて。
目を離さないの。

「あ、あの、その…」

ふと、結城真一の手に持つクッキーが目に入って。

「クッキー、好き?」
「ああ、お菓子好き」

違うでしょ…。
そんなこと言ってどうするの?
ごまかすにも限度あるじゃない…。
ああ、自己嫌悪…。

でも…。
今の、お菓子好きって言い方。
こどもみたいでかわいかったー。

なんて思ってる場合じゃないわ…。
この微妙な雰囲気…。