「あ、あの…」

声をかけたらともちゃんの肩がびくっと震えて。
思いっきりびっくりさせちゃった…。

いや、あの、驚かせるつもりは全くないんです!!

「あの、ごめんね、突然」

慌てて謝ると、振り返ったともちゃんがあたしの顔を見て驚いてるみたい。

え、あたし何か変?
ていうかともちゃん泣いてるの?

「あ、あの、びっくりさせてごめんね?踞ってるのが見えたから、具合でも悪いのかと思って、それで…」

泣いてるところを見ちゃって申し訳ない気持ちで、急いで説明しなきゃと思ったけど、早口になっちゃってうまく話せない。

もう、あたしが動揺してどうするのよ。

顔を隠すように俯くともちゃんは、鼻をすすりながら、ときどき肩で息をする。
体が引き付け起こすくらい泣いてたみたい。

理由もわからないあたしは何を言ったらいいのか、どうしたらいいのかもわからなくて、ただ立ってるだけ、なのよね…。

「あっ、ともー。大丈夫?」

近付いてくる声が聞こえて、女の子がともちゃんに駆け寄る。

あ、この子は、同じクラスの…。
あきなちゃん、よね?

あきなちゃんの顔を見たともちゃんは、安心したのかまたさらに泣いちゃって。
あたしが気になったのか、あきなちゃんはあたしをちらっと見て…。

そりゃそうよね。
なんであたしがここにいるのか疑問に思うわよね…。

「踞ってるのが見えて、もしかしたら具合でも悪いのかなと思って、それで心配だったから声かけたの」

作文みたいな説明になっちゃったけど…。
それで納得してくれたみたい。


「そうだったんだ…」
「うん、じゃあ、あたし行くね…」

あたしがいない方が、ともちゃんはあきなちゃんに話しやすいと思うし。
あたし邪魔にはなりたくない。

とりあえず教室に戻るかと思って歩き始めたの。

結城真一が待ってると思うけど、このまま廊下の先には進めない。
この廊下を通らないと昇降口には行けないんだから。
合流して、一緒にいるところを見られたくないわ。
ともちゃんは、あたしと結城真一が一緒にいるのをよく思わないみたいだし。

はあ、どうしたらいいのかしら…。

そう思って歩き始めたら

「ま、待って!」

ともちゃんに腕を掴まれた。

「み、御崎さんに聞きたいことがあるの!」

ともちゃんの突然の行動に、あきなちゃんも驚いたみたいだけど。
あたしだってびっくりしたわ。

あたしに聞きたいこと?
って、何?