「な、なんで、そうなるのでしょうか?」

混乱のあまりに途切れ途切れになる自分の声が聞いてて悲しいわ…。

「監視するために傍におくなら、彼女って肩書きがあったほうが便利だな」

べ、便利って!!
そんな軽々しく彼女とか言わないでちょうだいっ!!

「そうだよねー。シンと唯ちゃん、どうして一緒にいるのか聞かれたら、付き合ってるって言えば話が早いし?」
「そうだな、説明するのもめんどくせーし」

だ、だからって!!
だからなんで付き会うことになるのよ!?
付き合う前提で話を進めないでよ!!

「それに、またさっきのやつらに何か言われたら、俺の彼女だって言えばいいじゃねえか」
「そうだよ、唯ちゃん、危ないよ。でもシンの彼女だって言えば大丈夫だから」

さっきの人たち…。
ああ、それはもう考えたくないわ…。
もう二度と会いたくない。
でも、そういうわけにもいかないのよね?
同じ学校の人たちもいるわけだから。

しかも、このふたり。
殴る蹴るしてたじゃない。

ん?
あれ?
ちょっと待って…。

さっきの集団から見たら、あたしとこのふたりの関係、どう見えてるの?
あの人たち、あたしに声かけたせいで結城真一に殴られて。
もしかして、あたしって何様?な立場?

「あ、あの…」

勇気振り絞ってますっ!!
必死に声を出す。

「あ?なんだ?」
「あの…。さっきの集団から見たら、おふたりとあたしは…」

顔を見合わせる結城真一と平野篤…。

「仲間だとでも思ってるんじゃねえ?」

仲間…。
そうですか、仲間ですか…。

「そうだよねー。唯ちゃんに声掛けたせいでシンに殴られてるし?」

平野篤に言われたくないことまで言われちゃって。
そうよね、それはさっきあたしも考えたわよ。

あたし、仲間だと思われてるのね…。

「仲間…」

思わず声に出しちゃって。

「不満なのかよ?」

結城真一に不満そうに言われて。
不満に思ってるのはそっちでしょっ!!

「助けを求めたのはおまえだろ?」

うっ…。
確かに…。
でもでもっ!!
あの時は助けを求める以外に助かる方法がないと思ったんだからっ!!
しょうがなくよ、しょうがなくっ!!