ぼんやりとそちらを見れば、当然ながら栞と思われる女の子が立っていた。


(あれ、なんか感じが違うなあ……)


悠馬のぼやけた視界に映る栞は、全体に白かった。白いパジャマを着てるんだろうか。

そんな風にぼんやりと考えていた悠馬だったが、次第に目の焦点が定まり、そうでない事に気づいた。


「あ、着替えを忘れたのか?」


部屋の入り口に立つ栞は、胸から下を真っ白なバスタオルで包んだ姿だったのだ。


悠馬はすぐに栞から目を逸らしたが、栞の露出した、薄っすらとピンクに染まった肩と、バスタオルの下に伸びた、やはりピンクに染まった二本の生脚は、悠馬の脳裏に鮮明な画像として焼き付いていた。


「お、俺は背中を向けてるからさ、その間に着替えるといいよ」


悠馬は立ち上がり、実際に栞に背を向けた。ところが、栞からの返事がない。


どうしたのかな、と思っていたら、悠馬の鼻腔に甘い香りが届いた。それは女物のシャンプーやリンス、ボディソープなどの香りであり、それが湯上がりの栞の体から発せられたものである事は、悠馬にも容易に想像できた。そしてその直後、


「悠馬さん……」


すぐ後ろから栞の声がして、思わず悠馬は肩をピクリとさせた。


「悠馬さん、私を見て?」